祖父との思い出の味、南蛮味噌
夏になるとスーパーに並び出す青南蛮。
青南蛮を見つけると、大量の大葉を一緒に買い込んで南蛮味噌を作るのが恒例になった。
最高のご飯のお供は?という質問が愚問になる程白いご飯に合いすぎる。
一度作っておくとしばらく待つし、お弁当にもお酒のアテにもピッタリな最高の常備菜なのです。
南蛮味噌は父方の祖父が仕事を辞めて主夫になった時によく作って送ってくれた思い出の味。
当時小学生くらいだったか、初めて食べた時はあまりの美味しさに衝撃を受けた。
甘辛く炊いた南蛮と、たくさんの大葉。
意味不明なほどしっかりとしたコクで
ご飯を何杯も、何杯もお代わりした。
おいしいと伝えたときには
「おぉー!そうかー!!」とすごく喜んでくれたようで、コーヒーの空き瓶やらなにかしらの瓶にたくさん詰めて送ってくれた。
祖父は僕が高校生のときに亡くなってしまったのだけど、今でもあの南蛮味噌が食べたくなる。
それからしばらく経って一人暮らしを始めたときに、八百屋で大量の南蛮見つけた。
これは…!と自分で作ろうと思い立ち、祖母に作り方を聞いた。
家庭菜園の庭で採れた大葉と、確か南蛮も入っていたはずなんだけど、大葉は相当たくさんはいっていた気がする。
祖父の南蛮味噌には黒糖が入っていたらしい。
あの意味不明なコクは黒糖が出していたものらしい。
全然関係ないけど、祖父も祖母も大葉のことを“ちそ”と呼んでいた。
送られてくる南蛮味噌も、ちそ味噌と呼んでいたな。
初めて作った時は甘いさの出し方がよく分からずガムシロップやらなんやら入れていたけれど、今ではすっかり手慣れたもので、2、3回かの味見でバッチリ決められるようになった。
だけど、じいちゃんのあの味はいまだに出せていない気がする。
ピリッと辛くて、シソの食感がしっかりあってもうちょっと味噌感がなかったような気もする。
どうやって作っていたのか教えを乞いたい。
人懐こくて、すごくやさしかったじいちゃん。
僕が生まれた時にすごく喜んでくれて、抱っこをして知らない人に見せて回っていたというエピソードが忘れられなくて、実際に覚えているわけではないけどなんだか嬉しくて涙が出そうになる。
亡くなってからしばらく経つが、一回も夢に出てこない!!と祖母はプンスカ怒っていた。
もうすぐ祖父の命日。
近々、お線香をあげに行こう。
今度は、僕が作った南蛮味噌を食べてもらいたい。